レヴィナス 「顔」と形而上学のはざまで
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デリダが批判していた論点とは別の箇所から、レヴィナスの論議が破綻を来していることが判明した。〈倫理は学問の前提である〉という主張は他人の絶対他性を証示する論拠であるとともに、新たな倫理学という基盤を「第一哲学」としてそこから哲学を構築し直すための論点であり、これは『全体性と無限』の根幹をなす論点である。だからこそ、この主張と顔の乖離という今われわれが示した点は、この著作におけるレヴィナスの根本的問題点である。しかしこの点を指摘している論者を私は知らない。というのも、そもそも前記の主張の重要性に気づいている論者が少ないからこの主張の問題点を突き詰めて考えようという論者がいないのも意外ではない。 佐藤義之. レヴィナス 「顔」と形而上学のはざまで (Japanese Edition) (pp.120-121). Kindle 版.